令和5年10月のうた

tonbo1
tonbo2

罪もなき人らを思う異邦人

秋濠や日だまり光る鴨の水脈

秋空やでんぐり返りの子のダンス

秋空や太鼓につられ城広場

ハロウィ|ン

人の雪崩よ怖い街

雹の秋

十回互具の世界観し

迷いおりコスモス畑に蝶休む

開館を背比べで待つ兄弟よ

 

広場秋

子背負い


母一人

黄化する銀杏の前の水飲み場

 

マントラを唱えて休む地蔵堂

秋の雹

屋根に落下の音激し

収集箱に古電池

石道標





古新




場なり







々と


秋風や濠辺から園抜けて寺













蝉落ちて温き大地よ布団めく

神無月

椿絵盆に薬と水よ

白壁の濠辺の道や芒道

 

城透けて見える樹の葉も秋めけり

天高く城見る車夫の声し

長櫓

千鳥破風に秋の風

秋風や小さき堰の波瀬音

秋蝶の小さき黄色そこかしこ

 

妹背橋

芒が揺れる船場川

秋蝶や石垣を覆う草増す

祭り後の川辺の風や金木犀

 

秋刀魚焼く大空覆う鰯雲

日蔭より日向を歩く秋の朝

令和5年9月のうた

まつ
り前

日陰にふわり秋の蝶

ハッとする金色めいた彼岸花

城眺め

濠辺の三つ目の地蔵堂

すすき揺れ郊外の空

バスの旅

渡し跡

緋鯉寄り来る芒岸

秋の旅

人力車夫の声し

飲んでいて葡萄みとれるワインかな

大広場

キバナコスモスの満開

 

芒出て秋めく瀬音犬と行く

新涼や古濠の鴉の尻声

 

芝伸びて小花ら揺らす初秋かな

城笑う白百日紅の拍手

彼岸花

飛沫の白さ澄む瀬音

大羽根の白鷺めける天守

白秋や見上げて光る白鷺城

新涼や参道の一陣の風

細タ
イヤ

秋風に乗る大男

炎天下

傘持ち汗のゴルフかな

秋雲や晴れ晴れとして只ひろし

古池や映る水面の百日紅

夏瀬川

咥える魚の跳ねる鷺

炎天下

石垣の草今盛り

古池に散る赤き花

百日紅

去る時雨

つぼむ木槿の雨雫

法師蝉

泣き始めた
り城の園

森の闇

安堵し
て飛ぶKと
んぼ

 

初風や

石段下の瀬音道

芝上に蜻蛉ら数多初秋めく

蝉瀬音

波しぶき
らの合唱

 

一陣の風にあおわれ木槿揺れ

豪雨去り魚鰭見える浅瀬かな

令和5年8月のうた

夏草や石垣写す長き濠

入道に囲まれ凛と姫路城

樹の幹にサルノコシカケ地蔵堂

シロ

ピア

扇観亭の百日紅

炎天下

足かば

犬抱き歩

夏草や瀬音と濠の千の径

城仰ぐ仁王門前

炎天下

 

涼風や日陰の森の黒揚羽

 

汗拭いて

瀬音の森の
残り蝉



飛び大輪花火



群声

 

猛暑日や羽根広げ立つ鷺の濠

葉や光る一枚ごとの光かな

蝉程の小さき鳥の葉の間飛ぶ

黒揚羽

濠の日蔭を巡り飛ぶ

涼風や巡回バスの停留所

夏川へ指先程の蛙飛ぶ

川並木

木漏れ日影の酔芙蓉

鶴の瓦載る住宅街

炎天下

猛暑日やペコンと音の鉄板の橋

炎天下

長石垣の影の濃さ

涼風や瀬にアオサギのひとつ立つ

黒とんぼ

縦横に飛ぶ森の闇

水吸える葉に涼風の木影かな

電信柱の影のオアシス

炎天下

そよ風嬉し停留所
















 

盆過ぎて濠辺の夕べ

鴉鳴

羽音させ蝉鼻先を森の闇

大千鳥

櫓破風の夏枯葉

 

下山する裾風涼し森日陰

龍の吐

冷たき水や

炎天下

令和4年10月のうた

うどん抱く幼女の婆を見て告げる





紅葉





いわし雲





に一機行

秋の月

機影点滅させて飛ぶ













電飾の神輿に映える法被かな

神無月

宿は不動の修行堂

 

櫓秋

和笠和船のき
しむ音

 

盆栽市

小鉢に香る小菊かな

秋風や広島ド|ムのオカリナ

 

いわし雲

天守に久し人の影

秋下山

子蛙背負

蛙かな

子を送る秋の豪雨や三回忌

秋変化

吾も変えん
と歩みだす

銀杏の木

子等の声高き広場かな

楓散る白き天守に白き雲

煉瓦塀

取り払われて秋の道

水槽にメダカの泳ぐ退院日

そよ風やコスモスまつり稲美町

寒暖差

木犀の香の二度来る

金木犀

干す亀ふたつ濠岩に

秋風や墓の下山の青葉路

秋晴れて車窓に写る寺の影

秋風や葉音騒めく登城路

秋風や人無き道を帰りくる

秋の夜

まつり太鼓を遠


 

人偲ぶ周りむくげの石達磨

図書館を出れば噴水トンボ飛ぶ

秋の濠

小学校の下校路

 

秋空やうつす濠とで城ふたつ

赤と
んぼ肩で休めり大青空

令和4年9月のうた

秋風や天守の窓に揚羽蝶

秋の丘

見渡す市街に播磨灘

百日紅枯れて青空

白亜城

 

図書館を出れば蜻蛉ら広場飛ぶ

 

鰯雲飛ぶ姫路城

国葬日





















 

濠と川

間の径に秋の蝶

 

いわし雲

大海亀の泳ぐ空

美術館のル|

バス出る濠芒

 

公園のぶらんこ静か鰯雲

石垣の草の彩り鰯雲

台風の去りて川辺に折れる幹

秋水や音させず首曲げる鷺

黒とんぼススキに別れ告げにけり
















戦時












涼風や

帯の櫓よ通り道

城望み百日白笑


祖母の影

川床の素麺汁の瀬音かな

涼風や瀬音響けり山の裾

入道雲

背に虫あた
り地に落下

雲間から渡る名月

黄金色

ヒグラシの鳴く土手径や灯のともる

名月や

にじむ金色行

雲間

名月の酒や澄みおり薪能

 

涼風やしぶく山すそ瀬音道

酔芙蓉

花弁に小蟻ひ

つ行

雑踏に見つける友のマスク顔

 

腰かけめく茸ある大木

地蔵堂

毬栗の柵を越えけり日陰径

令和4年8月のうた

西瓜ふたつ梅花藻川の網の中












緑蔭の並木道なり炎天下

 

夏の夜の稲妻ピカリ音凄し

 

芝生ねる母の腹這う子の笑顔

ふと影をしのぶ音なり和風鈴

下城道

塩辛

ンボ数多飛ぶ

夏川の合流しぶき鷺ひとつ

 

 

暑き夏

鳥らのねむる城の森

並木路

片影続

道涼し

 

百日紅



様な
り傍の石

鳩群れて酔芙蓉らの船場川

がやんまの腹見せ落ちて川辺道

コロナ禍や瀬音寂しき黒とんぼ

百日紅

何処からか

る笛の音

夏旅や異邦人の子

追う猫等

腹ばいの犬不動

炎天下

ジジジ

ザザザ

蝉と瀬音と風の音

向日葵によ

出会

日よ青い空

炎帝の睨む四阿の涼風

さらさらと夏川流れ光る波

 

蝉落ちて人無き道の瀬音かな

貯水池

蝶と蜜蜂めぐ
る花

青空に城と夏雲白く映え

風鈴に話やさしく涼みけり

緑蔭やベンチの前の池の亀

 











K

んぼ

和団扇に鮎の絵の皿

夏料理

炎天下

布団を叩

音のどか

 

熊ん蜂

雲を背に





つ飛び

森日陰

母と娘の大ぶらんこ

令和3年10月のうた

路地多き住宅街よ金木犀

青空に鳥数多な
り柿実る

千の径

芒と櫨の展覧会

虫小窓続

街道

神渡し

城を背に宙に住む蜘蛛

鰯雲

月光の石垣の壁

群れ芒











 

 

名月や少しの欠けよ広き空

抜け道を出れば数多の赤とんぼ

 

空広き瘤ある並木

神渡し

扇観亭のメ
ビウスの輪

小池

 

濠向こ

城の森影

飛ぶ翡翠

城を背に巣に遊ぶ蜘蛛

冬支度

葉の色の変化を眼下

白亜城

田の跡に秋桜揺れる夕べかな

濠と川

風の中道すすき径

川瀬音

赤いランプの交差点

屋台蔵しまう幟の茶箱かな



白な長壁の径

濠辺秋

電飾の屋台が巡る宵の秋

 

秋祭り街ごと違う幟紙垂

白亜なる天守小天守

鰯雲

宮囲む色発つ紙垂や秋祭

一幅の屏風

濠の芒ら

形卍門入れば枡

秋の城

 

緋鯉来る古濠の岸に茶枯れ葉

樹の影の尊徳に降る濠辺秋

つかめたよ蟷螂見せる子等の秋

 

鷺去りて濠に塩辛とんぼ群れ

どこからか路地足元の酔芙蓉

令和3年月のうた

夏日暮れ山に彩雲たなびけり

菌恐しマスクの頬を抑えたり

鰯雲

スマホで転ぶ顔無残

起きてすぐ布団の縁で座る秋

翡翠の城の森影

濠を去る

ゆで栗を割りて猪の如

くい漁る

曼珠沙華

入れば釈迦の涅槃像

大青空

赤と
んぼとぶ苅田跡

 

空を背に酔芙蓉らの寂静

大青空

天守を掃ける雲数多

 

無人道

我に野良な

小声かな

川堰の飛沫背にする彼岸花

 

上弦の昼月

秋の天守閣

訃報お


友の落語の声届

伸ばす腰

芝刈り終えて蝶ふたつ

蝶ふたつ戯れ飛べる挽夏かな

つくつくと声の途切れて瀬音闇

秋の濠

見上げる鯉の目ら口ら

ひらひら
と高

飛ぶ蝶

秋の空

コロナ禍や観衆に似る椅子群れて

ちまちまと葉がたを透かす青もみじ

秋空に変わる夕べの鰯雲

木下闇

濠入る蛇の

ねる水 脈

一本道さきからずう
っとKとんぼ

柘榴割れ揺れる稲穂に群れ蜻蛉

重陽の朝日を浴びて深呼吸

 

婆翁敬う菓子の届きけり

手育ての無花果くれし祖母しのぶ

下校時の手を振り返す夏の子ら

 

コロナ禍の猛暑日に笑む向日葵ら

猛暑日や老婆きけど
も犬不動

令和3年月のうた

涼風や濠森選び漕ぐ木陰道

夏枯れ葉とま
って揺れるKとんぼ

ようけ居る蝉らに慌て父子さわぐ

夏夕焼け小ボ|ル投げて犬連れて

残蝉や濠の柳に響きけり

向日葵やスリ|マギトス描く空

魚ら寄り誰も居ぬ園の緑蔭

まだ青い銀杏の実らの枝に垂れ

 

百日紅

並木の先の曲がり路

川涼風マスクの老いの椅子たたむ

 

似る六羽

親は羽ばた

鴨の夏

大青空

百日紅さ

土手の上

 

マスクせず夏川辺行く一万歩

ビル入れば柱四隅の飛沫水音

寺の裏トタンの壁に大西日

猛暑日や冷余風の道と軒影

夕立や地蔵のひまわり涼しげに

田の畔の草に優しくKとんぼ

野分去り




と川の流れる

猛暑日やポトンと落ちる蝉ひとつ

唐千鳥

破風よぎ


る隅櫓

猛暑日や光りて飛べる黄金虫

列車旅

夏雲奇峰の大青空

あぜ道よ先は宅地に青田風

蝉トンボ蝶や鳥くる夏の森

田水溝

上ふたつ飛ぶKと
んぼ

 

蝉わめく森にたおやか蝶上下

小石ける飛沫の光

夏浅瀬

コロナ禍や子等来ぬ幹に蝉群れて

 

木下闇

黒き虫らのひらひら

毬栗の群れて蝉の音とげとげし

令和2年10月のうた

秋水や波の底岩

渦瀬音

雲一つなき秋空に水あがる

蒼穹に三日月澄める白鷺城

夕茜

搦手濠に城映えて

秋空や煉瓦塀のぞく白薔薇

野良猫の餌を狙い来る

秋光や格子襞影

青畳

鵜の去りて白鷺戻る秋の堰

 



こ雲

石垣濠の隅櫓

間道の杭影曲がる秋の路

 

屋台蔵

前で酒宴の秋の宵

秋社

白薔薇三つ
と三毛猫と

 

紅き櫨

石垣のぼる黒き猫

黒猫の石垣の上

鱗雲

苔の秋

崩れ石垣残岩に

望月や光と影と群れる星

三日月の冴えて澄みきる夜寒かな

鷺の角なびく尾花の瀬音道

尾花揺れ無花果の香の瀬音道

酔芙蓉

陽に透かされる花脈かな

毬栗や夕暮れ路地に割れ落ちる

秋の園じ
ゃれてほられる子犬かな

匂い来る焦げた秋刀魚の路地に入る













彼岸花

下から鯉の尾と口と

塀に飛ぶ猫眺めおり鰯雲

 

紅増えし枝に小雀みえ隠れ

彼岸花

甲羅五つの草岸辺

空濠の草にちらほら彼岸花

 

秋川辺

狭間白壁続きお

静か立つ鷺に二本の彼岸花

令和2年月のうた

通り雨

虹に誘われて彼岸花

上弦の秋の昼月

城の上

搦手の太鼓櫓の音をしのぶ

野良小屋のトタンの錆に飛ぶとんぼ

犬も見る川辺の芙蓉

波瀬音

青空にセ

フ枠

よな秋の雲

秋の蝶

濠の尾花の揺れて凪

石庭の小さき岩に猫隠れ

 

Kと
んぼ秋川の鷺の鼻先

コロナ禍の路地に迷えり秋の蝉

 

金仏の螺髪の見える寺の秋

秋空を指さす子乗せ母の押す

 

 

巣樹切られ秋空迷う鵜らあわれ

西日秋

天守の破風を染める空

 

夕陽受け仏舎利塔の影冴えて

祖母しのぶ無花果香る路地の秋

街灯の茜に溶ける秋の宵

燈籠と巨石の庭や秋の雨

秋空のクルス山間の教会

 

秋空にトンボの二つ寺の屋根

雲飛びて秋山寺に鳩ひとつ

スケ|

で犬引

散歩

秋川辺

野分去り野花も空も陽射し受け





濠で





秋夕べ寺町筋の凪の濠

 

秋の土手

象の鼻め

蔦の群れ

白鷺の白鷺城へ秋の空

 

向日葵や空へはじけて花火めく

 

秋茜

青信号の続

川堰の白い飛沫の瀬音秋


令和2年月のうた

蝉網の影長くなる夕陽時

地蔵堂

燈明台に蝉のきて

古すだれ打ち水影道ただ歩く

口と顔透けるマス
クの武具に似て

瘤の樹に青葉茂りて若木然

ふと虫の来て庭にさわぐ風鈴

夏濠辺

人力車夫の日照り声

渓流や夏の上弦の昼月

涼風や犬に夕焼け濠辺路

 

夏枯葉

松ぼ


りの土手の径

猛暑日や腹地につけて寝る猫ら

 

炎天下

大黒様の屋根瓦

伸びあがる虹から天守へ飛ぶ鳥ら

 

 

夏日浴び屋根に鳳凰

鬼と華

夏の寺

甍に並ぶ鬼三つ

 

長袖に鋏音

夏屋根に恵比寿

黒揚羽止まると飛ぶのふたつ来て
















蜻蛉のとまる濠辺の夏日かな

涼風や柳の隙間指す夕陽

 

緑濃し森を映して川瀬音

うちわ風

メロンの届く伊良湖より

夏落ち葉

凪濠の亀よ隠れよ

風一片

今年の蝉の鳴かぬなり

入道と鰯雲との夕べかな

黄のシ

ツのダ


ュ青芝

百日紅

 

猛暑日や城森の鵜ら口開けて

山裾の森影二つ黒揚羽

 

夕涼み橋の真ん中ひとりぼち

 

新コ
ロナ禍

空席の夏座敷

夏自粛

手水鉢には唯足れり

令和元年(平成31 年)10月のうた

蜘蛛の巣に枯れ葉の絡む濠辺路

秋草も花も萎れり弔いの朝

谷根千や秋の境内煙る霧雨

列車バス徒歩は小雨の秋の旅

秋しずかバス停に立つ老夫婦

ガニマ

で降り
る老人

秋の駅

走り去る景色寂しき秋の旅

 

野分過ぎ竹林倒れ池にごる

 

秋の濠

和船乗り場に人は居ず





な秋雲の先

城櫓

 

凪ぐ濠に映る石垣

櫓秋

 

 

秋空に響く屋台の街を行く

陶器市

娘の手引

母へ秋風

 

冬眠へ枯葉分け去る細き蛇











一斉に枝に飛ぶ鳩

秋川辺

餌求め鯉口の多し秋川辺

 

千木並ぶかやぶき屋根の里の秋

秋の園

子等と多様のパラバル|ン

秋の朝

銀翼光る青き空

秋の午後

蛙と鮒の槽二つ

 

秋大河ピポラポ

ドの先の霞む塔

 

秋豪雨去り花に来る熊ん蜂

 

列車過ぎ

石の秋草に蝶と
まる

 

線路わき群れて咲



彼岸花

草刈れば秋蝶ひとつひらときて

令和元年(平成31 年)9月のうた

秋の雲消える瞬間

鳥ひ

鴉鳴

川堰飛沫

彼岸花

瀬音道

並木の影に夏落葉

紅葉の忍び寄る森

葉らの風

学舎秋

杭ある濠の土塁道

頬に風

ツクツクボウシの一声

船場川

白漆喰の夏屋敷

濠風や石垣の夏草の屏風

 

日影濃いク|ラ|もれるビルの午後

不動堂

仏足石に彼岸花

城見ロビ|石垣カ|ブの支柱

瀬音する並木川辺に夏枯れ葉

濠出島

夏痩せの鷺狙

魚 

 

濠の面に羽跡残して鵜の去りぬ

 

 

残暑厳

日暮れの老犬舌を出す

ひでり道タオルの首に冷えてよし

猛暑日や人力車夫の脚と顔

入道雲

白鷺城の背も



猛暑日や豹柄日影楽しけり

櫓背に葉を紅にする初秋かな

濠沿いの石垣覆う夏草の道

ひらひらと川へ平らに蜆蝶

青紅葉

葉裏に波を揺れ映す

まん丸でど



エエ
と中秋の月

猛暑日や川幅すべて小波の光

百日紅らの並木のグラデュエィション

 

 






ア鴉鳴



夏の闇

涼風や自転車前後の乗る子らに

 

雨やみて塩辛トンボら芝の上

炎天下

片眼達磨の坐する棚

令和元年(平成31 年)8月のうた

雨去りて蜻蛉の群れて芝の上

夏枯れ葉

咥える鯉の口丸く

夕立のあとの土手径濃い緑

蜩の声

響きけり森の闇

夏枯れ葉

増水はげし瀬音道

夕立や雨跡激し川と濠

炎天下

緑日影の濃い並木

声かわる残蝉の譜の短かさよ





の綿雲を背に百日紅

 

石垣の草屏風なり夏の草

地蔵盆

子等の祈りの堂巡り

青紅葉

先には城の長局

滝の猿

水煙の先の樹の先

炎天下

広がる樹の根土手の森

 

 

 

空晴れて早朝日影の百日紅

ミ|ンミンミンみ|日向と影の濃き社

大賀蓮

蕾の色に蝉の声

猛暑日や飛ばすし



に森の影

むくげ咲く公園口の蝉の声

夏の蝶

綿打池の蓮華亭

 

旅車窓

瀬戸の花火や星無尽



レ|ル夏空の道

登る坂

 

涼風やゴウヤの網の揺れる朝

夏の朝

羽音させ寄る熊ん蜂

 

猛暑日の車窓の青田なびきおり

夏旅やクレ|ンの目立つ港町

 

 

猛暑日や旅立つ朝の玉砂利の音

炎天下

土塁濠から出る蜥蜴

地蔵堂

前の浅瀬に墨とんぼ

 

夏枯れ葉

日陰ベンチでバスを待つ

平成30年10月のうた

温め酒

焼いた味噌付け鰆かな

枯葉らの茜の別れ触れて落つ

豚触る幼児うしろ手

秋の馬場

秋静か鴨の波打つ羽音かな

糸に風

空を背に

て蜘蛛ふたつ

色変えて横に斜めに降る枯れ葉

蜘蛛二つどれも母娘の巣も二つ

 

遠くへの煉瓦館描く過去を秋

 

秋祭り終わりて神社の名残旗

天高く鬼瓦置く千鳥破風

枯れ葉道

黄なる小さ
き蝶や飛ぶ

岸馬場の水門に揺れる秋桜

赤とんぼ芝生広場をつなぎ飛ぶ

 

かぼち
ゃの実

転がる畑

先は山

烏鳴く森の柿ら

たわわなる

 

和船行く秋の櫓に茜空

なんか居る波紋の足元

あめんぼう

田を眺め三羽のからす柿の枝

雲の中浮いてたなびく蜘蛛ふたつ













秋時雨

石垣覆

草を打つ

 

流離いて彷徨う路地の京の秋

 

布絞る姿にしぼむ木槿かな

鉢植えに蜂羽音

金木犀の香

野分前

ビルの足場の黒い幕

 

金木犀

澄める小川に

ダカ居り

 

 

秋祭り日本画舞踊練る神輿

彼岸花

火の列続

瀬音道

すすき吹く濠辺並びに川瀬音

 

秋瀬音

石越す渦の波しぶき

平成30年9月のうた

 

蝉終えて瀬音飛沫のひとり道

彼岸花

大きな鮒の透けて見え

 

紅続く小さな雲の彼岸花

 

秋刀魚焼く食器洗いも留守の味

如来らの白雲の如

彼岸花

先に蝶

枯れ葉に似たる羽根模様

 

よしず背に濃淡茶色ぐみ実る

 

道ふさぐ青柿垂れる川辺道

秋の濠

和笠和舟の飛沫水脈

蝶来り瀬音色香の彼岸花
















碧空の白雲に入る飛行雲 

 

彼岸花

飛蝶ふたつの瀬音道
 

かたつむり角出し幹の苔を這う

 

角を張りゆるりと這うや蝸牛













秋晴れの朝の電話や旧き友

蔦やしき音流れ来る秋夕べ

蝶三つ葉にまといつく秋川辺

読経聴く線香の灯に戦ぐ風

 

ジム通い傘叩



堀辺秋

 

夜神楽や足踏む音と灯と闇と















足元に転ぶ空蝉

酔芙蓉

ひと休み運ぶ草の香

一陣の風

枯れ四葩まだ立ち無風

炎天下

 

 

あら
しの夜

雨と稲妻
響く

夏雲に入る飛行機の紙の様

蜆蝶

熱波避け草に居り

 

夏の丘どの葉もすべて輝けり

平成30年8月のうた

 

涼風の舟入川に蜻蛉跳び

川浪の飛沫光らせうねり行く

 

石垣を冷まして涼し夏の草

川風や花弁の中の蟻涼し

戦ぐ風川辺の木槿白く揺れ

炎天下

針葉光る見越し松

道にでて百日紅笑む狭き路地

 

大空に機の音包む積乱雲

 

青柿が下がれる木陰

川瀬音

西日射す自転車こいで炎天下

青い羽根

飛び
しバッ
タの炎天下

湖を囲む風車ら夏の丘

風通る青柿の下

酔芙蓉

 

老津なる駅名ありし老いの夏

 

車窓の浮雲ぽんぽんと真夏旅

 

炎天下

墨流すよな白き雲

青空へ紅散らすよな百日紅

白木槿

花に入り込む蟻二匹

炎天下

ある
じ困ら

ぐずる犬

通り雨

毬栗の棘皆光る

空蝉のそばを森へと黒揚羽

 

炎天下手足ヒラヒラ濠の亀

 

跳ねる魚

瀬音

風の音

蝉し
ぐれ

羽広げ地に寝る鳩の炎天下

真夏日や水浴び鴉

瀬を歩く

枯れ四葩下に木槿ら白く群れ

木槿さく枯れし四葩のその下に

 

 

樹の幹に豹柄の影

猛暑の日

獅子吼えの入道雲や背押す風

白壁の日陰をうねり飛ぶ蜻蛉

 

森日陰

汗飛ばす風の自転車

平成29年10月のうた

 

嵐来て落ちし枝踏む音数多

雨見えず濠に水紋みえる秋

 

金木犀

掘割の上賀茂の水

不動尊

火炎羽ばたく神無月

古き友ら背を流しあう秋の宿

秋の寺

老樹大木偲ぶ春

金木犀

野球少年球拾い

 

藤袴

線香花火を
しのぶ花

 

川浚い砂利音澄みて神無月

 

雨上がり木槿に露の五滴あり

秋の川

蓑着る様な鷺に雨

 

屋根伝い祭りの旗をくぐる猫

 

秋の暮れ子ら
遊ぶ声の寺

 

虫籠窓



家並み旧街道

橋上の月はまだらな雲を分け

深更の月は鱗の雲を分け

柿の実や風が秤の枝の揺れ

酔芙蓉

飛行機雲の崩れた



こ雲流れの狭間

白き月

 

濠挟む森の風

草靡

 

秋空を掃きゆく白き雲の風

ハタハタ
と旗音の路

秋祭り

抱きし子の猫撫でる手や冬隣

寺の園

子らの声去る夕べ秋

逝去した月だけ知れて神無月

 

 

秋祭り花を除きて屋台道

 

鱗雲

鳥ら彷徨う雲の波

 

黒揚羽ひらりと来たり彼岸花

平成29年9月のうた

 

天高

飛行機が行

只一機

緩やかに飛ぶ蝶ひとつ祭り前

シデ並ぶ様に群がる彼岸花

前に黄の足元赤の彼岸花

憂き我をふるい飛ばせよ秋の雲

下校時の見回りの傍

彼岸花

安全帽揺れる子が見る秋の空

羽根透けて葉からはみ出る残り蝉

枇杷の木とまどろみ居りぬ酔芙蓉

 



ラにさらされ路面

城マ

樹の影の濃く川風の秋の影

 












 

 

子等連れて川辺の列の秋うらら

 

雲消える瞬間を見る秋の空

 

秋空に揺れて閉じ行く酔芙蓉

紅白を揺らしてムクゲ咲う路

ヒグラシや白い飛沫の小川路

雲飛びて森のざわめき残り蝉

落ち葉吹くブロア掃除や秋来る

雲流れ入道混じる初秋かな

石垣の斧の印に秋日射す

濠干され見える巌場に秋日射す

 

ヒグラシの響く森なり枯葉吹く

芝原に数多飛びおり赤とんぼ

 













 

空地出来

夏草目立つ午後の風

 

中堀の夏の暗がり烏飛ぶ

夏枯れ葉

半分白い昼の月

 

名を呼びて無花果

れる祖母の声

飛行機雲の消えゆく跡や時と行く先

夏の雨

甍の波に輝け

平成29年8月のうた

 

鰯雲

飛行機雲と




雲消える瞬間を見る空晩夏

橋涼し小川の浅瀬

石瀬音

眼の高さ川辺に涼しむくげかな

背から落ちあがく蝉起き動かざる

蜥蜴這う倉庫の下へ隠れけり

夏枯れ葉

道行

バイ


ピザ運ぶ

夏草の石垣覆う炎天下

濃い色に聴けば青空

酔芙蓉

 

送り火や戦後を映す走馬灯

蛇居た
と背後から声

青紅葉

 

雲峰に届けと紅き百日紅

 

 


|ド










 

夏枯れ葉

路に木漏れ日濃ゆくなり

 

一羽だけ森烏鳴く炎天下

青苔の石垣涼し川辺道

墓の昼

花と水提げ街を見る

蝉といえよき声もあり川辺道

夏の朝

良性発作のめまいかな

救急車よく聞く夏や夜更け時

川と濠

間の香り涼し

台風の去りて気付くや喪の知らせ

 

蝉の朝一つ彷徨うトンボかな

立ち話

自転車二つ炎天下

 

青鷺の懐開く炎天下

 

老木に茂れる葉風

昼の月

 

 

日照り道

落ちて揚羽の羽根ひ

 

蝉しぐれ青柿実る瀬音道












車の灯

窓に流れる夏の宵

平成28年10月のうた

 

堰の主

紅き枯葉と白き鷺

秋の空

下に小部屋の飛行船

石垣に似て乱れ飛ぶ鰯雲

秋の城

隅の櫓の
唐破風

高き空

葉らの色付く化粧時

秋水や

鷺が魚取る堰飛沫

秋の旅

妻入り刻み囲いの屋

豊作の柿や小路をとうせんぼ

鷺の声

険しく飛ぶや秋の川



川 








長局

先に天守と鰯雲


ンチコ
|ヒ

窓一杯の秋の空

祖母と園

大石蛙 撫でた秋

月雲間

夜間飛行の灯が光る

旅の
風呂

秋の朝焼け走る舟

秋日暮れ月や高雄の犬照らす

峠道

南洋桜の樹一本
 

神無月

草をはやさぬ砂利の音

見上げれば島の形の秋の空

肥えた鴨ひとつ游ぐや秋の川

月の海

映す機の影

夜飛行
 

鰯雲


っきり伸びる
土の影

鰯雲

柿が我が道と

せんぼ

鰯雲

長そでの増えて行きかう

公園に鳩呼びかける子のお辞儀

天高く機影の早き飛行雲

秋水に
透けて
黄や
白鷺の足

電飾の神輿の列や秋祭り

魚を追う鷺の羽ばたき秋の堰

無花果や声と微笑む祖母の顔

野分前

堰波瀬音ゆ
った

野分前

黄蝶の多く川辺飛ぶ

電飾の屋台練りゆく秋の暮

鰯雲


|ル






飛び

ススキの穂

祭りの紙垂と月祓

秋の濠

餌探す鴨の泥煙り

蔵の屋根草生え招
く秋の雲

木犀の香りや揺らす御神燈

秋の宵

濠の緋鯉の尾のゆら

おにぎりを順番通りほどく秋

鍋の湯気



出れば鰯雲

曼珠沙華

白鷺が居る川辺道

春に見た機の舞う空は今の秋

平成28年9月のうた

彼岸花

雲と茜を地に移す












土壁に濃

伸びる影

炎天下

秋風や濠面の緑見入る鷺

鬼やんま腹に静かな虎模様

かき分けて柿落ちる音細き道

 

野分去りうねりに立てる白き鷺

車待つ空飛ぶ雲と彼岸花

夜更けて風呂に聞こえる虫の声

 

秋月や白き天守の鯱の影 

秋寒し

かわたれ時に来る訃報

秋風や濠面の景色見入る鷺

 

鷺ひとつ濠の出島の草陰に

 

油蝉



川辺の苔の上

涼風や葉を踏む音の続く道

金木犀

去る足音で季を知る
 

色ずける葉陰に休む鳩ひとつ

 

色ずける影に小粒

実の数多

残蝉の


つ響



瀬音道

葉に飛沫

飛ぶ滝水や瀬音道


スベガス
秋の公演

歌舞

先に飛ぶ

おはぐ


ンボ

川辺道

神輿行く広場斜めに鰯雲

青空に紅ほろほろと百日紅















の風ふらここひとつ揺れてる

鰯雲

野分 の兆し早

飛ぶ

鰯雲

銀翼光り遠

飛ぶ

柿のへた有田の皿に三つ残る

一輪の木槿の川辺

広し空

濠の鯉

泥煙あげて波の雲












 
田一枚ひらと去来す秋の蝶

 

新涼の千姫小路

歌碑の路






網か巣の蜘蛛

彼岸
花 

日陰から川面に群れて出るトンボ

長局

隅櫓立つ夏の森

雲を背に芙蓉の揺れる道涼し

平成28年8月のうた





の声

ぎれ見る風向計

























ヒグラシの啼く白壁の長き道

 

旅人の吾取り戻す夏の雲














 
















と芯を突き出す木槿かな

真夜中の五輪ライブを籐椅子で

 













 
 

水浴び後よしずの日陰かき氷

下平ら上こんもりと夏の雲

 

地水火の遠き送り火

雨後夜空

 

夏並木

雀の砂風呂三つ四つ

 

百日紅

遠雷響

花の先

 

土の香にむせて草取る炎天下

朱鷺色の日暮れ風なく柿熟す 











にぎわいの遠

聞こえる夏まつり 

 

 















籠を持つ麦わら帽子に蝶ひとつ

水に落つ蝉

小さ
き手救い出し

炎天下石垣の蔦焼けて枯れ

緑濃き見えなき蝉の瀬音道

木陰道

見上げれば蝶二つ三つ

老いの酒

日影一人の夏まつ

滝道や長白壁に水の影

盆休み戦時映画の沼地獄

 

夏の通夜

椅子に残り
し経一冊

 

水光るプ|ルの底は万華鏡

 

 

棟がわら入道雲と問答す

 

黒トンボ葉陰に二つ瀬音道

夕立去り箒が残る壁際に

泳ぎ終えうたたね涼し苫屋かな

 


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